夢は自分で叶えるもの。

寒いですね……もう3月だというのにこの寒さ。どうやらシベリアからの冬将軍がこちらに流れ込んでいるとか。ボクとしては一刻も早くロシアに帰って頂きたい。この寒さが最後なんでしょうか？時期的にもうそろそろ春一番が吹いても良い気がするのですが。

今日は相方さんが休み。のはずでしたが、社長の私事で駆り出されてしまいました。どうやら事務所をたたむらしいです。ま、事務所をたたむと言っても、会社がつぶれるわけではなく、仕事は今まで通りできるのですが。

そもそもこの職種、やりようによっては事務所なんか無くともやっていけるんです。ボクらは仕事が終わったら現場から直帰するスタイルです。これが事務所に帰って報告しなきゃいけないとか、定時があってそれまでは勤務時間として扱われるというのなら、相応の場所で待機する必要も出てくるので必要かなとは思うんですが、ボクらのところは小さい会社ですし、従業員も少ないのでそんなの要らなかったんです。

じゃあ何で事務所が存在していたのか。

最初、事務所を作る話を打ち明けられた際、社長はこう言ってました。

「本来ならば、事務所うんぬんよりも先にやらなければならないことはたくさんあるというのは分かっている。君らの賃金アップや手当など色々ある。でもね、それにはまず利益が必要なんだよ。働いて稼がねばいけない。そして稼ぐためには人材が必要だ。そして人材を得るには募集をかけなければいけない。 <中略> 面接するには事務所が必要だと思う。事務所があると、会社がそれなりに見える。ちゃんとしているように見える。事務所があるのとないのとでは人の集まりが全然違うと思うんだよ。そして何より、事務所を持つというのは私の長年の夢だ」

確かに、事務所があると「それなりの会社なんだ」って思わせられるかもしれない。面接も時間をかけて見極めがしやすいと思いますし、仕事も請けやすいですしね。でも最後の言葉で全てが台無しになりました。それまで真剣に話を聞いていたのが馬鹿らしくなって、ボクら全員が心の中で「あ、こいつクズだ」と呟きました。あ、口が過ぎましたね。すみません。

でもまぁ、社長本人が決めたことですしね……一従業員がとやかく言う権利が果たしてあったのかなかったのかは分かりませんが、権利があったとしても言えませんよ、そんなの。

その後、賃貸で借りたんですが、まさかの"合鍵が作れない型の鍵"だったんですね。マスターキーしかないっていう。それはそれで社長が一番乗りすればいいんでしょうが、そこからほんと事務所としての意味が羽つけてどこかへ飛んでいってしまったんですよね。

事務所開設から今までの間、一度も求人募集も面接しませんでしたし、従業員の中では一度も事務所に足を踏み入れたことのない人もいます。本当にただの社長の自己満足のためだけの事務所だったんです。

何で使ってたかは知りません。書類作成のため？倉庫代わり？自分の愛人を連れ込む城？真実は社長のみが知ることですね。

挙句、事務所をたたむことにすると打ち明けられたとき、何て言ったと思います？

「よく考えたら無駄だわ。もったいない」

そんなこと、最初からみんな分かってましたよ。やっと気づいたかこの野郎、と。でも、無駄にしたのは社長自身ですからね。事務所を活かすやり方で運営しなかった社長が悪いんです。もっと従業員も頼ればよかったのに……責任感が強い人なので、自分の会社だし自分が何とかしないと、とか思ってたんでしょうかね。

まぁ、早めに無駄だと気づいてくれたのが何よりの救いです。これで事務所の家賃に回してた分をこちらに回してくれる……なんてことはきっと無いんだろうな。

こんちくしょうですね。

おわり。