じゆうちょう

大切にしたいから、忘れないために書いてます。普通なことから小難しい話題まで。雑多です。

ある音ゲーマーたちの話。

ボクは今スマホアプリでいわゆる『音ゲー』と呼ばれるゲームをやっています。可愛い女の子たちが歌って踊ってくれてる中、ポチポチとタッチしていくやつです。腕はなかなか上達しませんが、下手の横好きと言いますか、今のところ楽しくやれています。あるひとつを除いて。

そのひとつというのは、ボクは昔アーケードゲームで有名な音ゲーをやっていたことがあるんですね。9個のボタンをポチポチ押すやつです。全体的にカラフルな。そうアレです。

最初は友人がハマってて、楽しいから一緒にやろう、と誘ってくれたのがきっかけ。そこからボクも見事にハマり、それもそんなに上手くはなりませんでしたが、大好きでした。

ですが、ボクよりも圧倒的にハマりこんでしまった友人は、時間があればゲーセンに通いつめ、そのゲームに勤しんでいました。その結果、上級者レベルにまで到達するほど上達した友人。好きこそ物の上手なれ、とはまさにこの事ですね。

ボクとの腕の差は明らか。それでも変わらずボクを遊びに誘ってくれて、ゲーセンでゲームをする日々を送っていました。

しかしある日、近所のある店の上にゲーセンが新しくできたんです。そこは音ゲーが充実しているゲーセンで、某9個のものはもちろん、ギターだったりドラムだったり円盤だったりと、それはもう盛り沢山で。他にも太鼓やダンスのやつもありました。

すると一気に、今までどこにたむろしていたのか……音ゲーマーと呼ばれる方たちがこぞって集まってきて、主に音ゲーマーの交流の場となったわけです。

そこに友人が通うようになって、しばらくしてから、友人から「今度からそのゲーセンに行こう」と誘われて。今まで行っていたゲーセンは規模も小さめで、どちらかと言うとビデオゲームが主流だったため、完全に音ゲーにハマっていた友人にとって、新しくできたゲーセンは天国のような場所となったわけです。

それからというもの、その新しいゲーセンに2人で通うようになるのですが、ボクが一番最初にゲーセンに行ったとき、バイトが終わってからなので夕方だったんですが、人が数人しかいなくて。

でもその数人は、既に友人とは常連仲間くらいの仲になっていました。来て早々友人は、休憩スペースの誰も座っていないテーブルの上に自分の鞄を置き、座りもせずそのまま音ゲーコーナーへ直行。

ボクはその友人の横に立って、友人のプレイを大人しく見ていたんですが、終わると次はドラムのほうへ行き、プレイ。いつの間にかドラムができるようになっていたんですね。

そして次はギター。これもなかなかの腕。そして次に円盤。これもそこそこ。てか、譜面のスピードが早すぎて譜面が全く見えなかったです。そしてふと周りを見ると、いつの間にか人が多くなっていて。客層は比較的若い層ばかりで、大体が中~高校生から少し上。社会人もいましたがみんな20代前半でした。

そこには各々好きな音ゲーをプレイしているのですが、みんなすごく上手くて、平均で上級者レベルの人ばっかりでした。

そこで思ったんです。「ああ、ここはガチの人たちばかりなんだ。ボクみたいなレベルのやつは場違いなんだ」と。

それでも一応、通ってはいたんですけど実際、意識高い系の人が非常に多く、ボクの腕がなかなか上達しないことを指摘されたり、ちゃんと練習してる?と高圧的な態度で接して来られたり、腕の差も歴然だったので話が合う人もいなくて。

だからといって、普通の世間話をしても無視されたり、避けられたりすることが多々あって。一度友人に「あそこのゲーセンの人たちは、ゲームが上手い人としか仲良くしないのか?」と問うたところ「そんなことはないと思うけど、アドバイスはしっかり聞いたほうがいいと思う。ゆまるのために言ってくれてるんだから、期待に頑張って応えてないと判断されれば、愛想はつかされちゃうかもね」と言われました。

ボクはただ、ゲームを楽しくプレイしたかっただけなのに、いつの間にかガチの人にスパルタ教育をされて『俺らのアドバイスで上手くならないと、仲間外れにするぞ』というプレッシャーをかけられて、大好きだったゲームが全く楽しめなくなってしまいました。

中には、スコア重視の人を「スコアラー」、クリア重視の人を「クリアラー」と決めつける人まで現れたり。

ちなみにボクはクリアラーだそうです。曲をクリアしたら満足するタイプだそうです。スコアラーは、最高記録更新に重きを置いているので、1曲1曲の質が上がる=上手い人ということになるそうです。

結局、そのゲーセンで仲良くなれた人は誰一人としていませんでした。


そんなことがあり、徐々に音ゲーをしなくなったのですが、アプリなら腕前を直に監視されることもないですし、ひとりで黙々と楽しめるのでだいぶ気が楽ですね。

でもやってる最中に、ゲーセンに通っていた頃のことを必ず思い出してしまい、MISSをするたびに、当時背後からずっとボクのプレイを眺め呆れた顔をしていた常連の人たちの顔が浮かぶんです。

もう一種のトラウマ状態になってるんでしょうね。今でも1曲でPERFECT(MISS無し)ができないと、まるで自分がダメな人間のように思えて辛くなります。なのに、やっぱり好きだからやってしまい、思い出して辛くなる、その繰り返しです。楽しいんですけどねっ。


何といいますか、これはゲームに限った話ではないのですけど、それを楽しむために集まっているはずなのに、最終的に一番重要なのは"人間関係"になってしまうものは、早々に身を引いたほうが良いと思います。

仕事ならば、人との関わり合いですから人間•上下関係は重要ですが、ただの遊びの腕前だけで関係が左右される環境ははっきり言っておかしいと思います。

結局ボクは、元々通っていたゲーセンに戻り、やらなくなるまではずっとそこでゲームをしていました。そのゲーセンには、元々ガチ勢が集まるほうのゲーセンにいて、ボクと同じようにガチ勢のガチっぷりにドン引きした人たちが避難しに集まってきていました。

その人たちとはやっぱり気が合ったのか、すごく仲良くなれましたよ。それにみんな音ゲーだけじゃなくて、格ゲーもシューティングもすごく上手なんです。基本的にゲーム自体が好きな人たちで、純粋にただゲームを楽しみたかっただけの人ばかりでした。

時々「スコアラー•クリアラー差別」をした人も偵察?で来たことがありましたが、その人は「ここはクリアラーの人が多いんだね。向こう(ガチ勢のほう)はスコアラーが多いんだよ」と再び勝手な持論を語り出すので、厳ついビデオゲームの常連勢と店員に追い出されてました。

楽しみ方は人それぞれです。ハマってガチ勢として楽しむも良し、ただ好きなものを気軽に楽しむのも良いんです。でも、その楽しみ方を勝手に決めつけて強要するのではなく、大切なのはその人の楽しみ方を理解することなのではないでしょうか。

自分の物指しだけで物事を見るのではなく、人の数だけ物指しがあることを理解して、上手く住み分けができるように心掛けるのが大事なのだと思います。

その後友人とは数回会いましたが、行動範囲が分かれたからか、いつの間にか疎遠になってましたね。共通の知り合いに聞いたのですが、どうやら友人はそのゲーセンの店員となって、開店する前や閉店後を利用して音ゲー独り占めし放題の生活を送っているようでした。やっぱガチ勢ってすごいですね。




おわり。